アイデアが作られるプロセスは様々な学者によって提唱されています。本連載の主題である発想法を紹介する前に、その前提知識として「人はどのように発想を行うのか、アイデアを作り出すのか」について、3人の学者による考え方を紹介します。
ジェームズ・ウェブ・ヤングの場合
■第一段階
「資料集め」のプロセス。資料には「製品と消費者についての特殊知識と、人生とこの世の様々な出来事に関する一般知識」が含まれる。
■第二段階
「資料を咀嚼する」プロセス。
■第三段階
「問題を全て忘れ、問題をできるだけ完全に心の外に追い出す」プロセス。
■第四段階
「どこからともなく、アイデアが浮かんでくる」状態。
■第五段階
「生まれたてのアイデアを現実の世の中に連れ出し」、うまくいくかどうか試す。
ヘルマン・ヘルムホルツの場合
■第一ステップ
「準備」
問題を「あらゆる観点から」考えてみるステップ。
ヤングの第二段階に当たる。
■第二ステップ
「孵化」
問題について「意識的には考えない」ステップ。
ヤングの第三段階に当たる。
■第三ステップ
「解明」
「予期せぬときに、すばらしい考えがひょっこりと、まるでインスピレーションのように浮かぶ」ステップ。
ヤングの第四段階に当たる。
モーシュ・F・ルビンシュタインの場合
■ステージ1
「準備」
問題を構成している要素を値直し、それぞれの関係を研究する。
ヤングの第一、第二段階に当たる。
■ステージ2
「孵化」
すぐに解けない問題は、寝かせておく。答えが見つからないのと、どうすればいいのかわからないのとで、このステージではいらいらするかもしれない。
ヤングの第三段階に当たる。
■ステージ3
「インスピレーション」
突然、答えに、またはそこへ通じる道がひらめく。
ヤングの第四段階。
■ステージ4
「検証」
思いついた解決法が実際に使えるかどうか試してみる。
ヤングの第五段階。
これら3人の考え方には、以下の共通点が伺えます。
- 日常的に、問題に対する情報収集を行うことが重要
- 問題を意識していない時、不意にアイデアが浮かんでくる
この考えによると、素晴らしいアイデアを得るためにはどうしても時間がかかってしまいます。ただし、限られた時間内で、知識の深くない問題を解決しなければならない場合、時間をかけて発想することはできません。そのような場合、今後本連載にて紹介する発想法は、短時間で発想を行う手助けとなるかもしれません。
参考文献
ジャック・フォスター(2003)『アイデアのヒント』阪急コミュニケーションズ